2012年5月10日木曜日

鉄道自殺「晴れの日」に多発…昼は飛び込み、夜は線路侵入

大阪府周辺で平成22年までの5年間に発生した鉄道による自殺について大阪府人権協会(大阪市港区)が調査したところ、昼間はホームからの飛び込みが、夜間は線路や踏み切りへの侵入が多い-といった傾向が明らかになった。悪天候より晴れの日に自殺が多いことも判明。1カ所で8件発生した場所もあり、データを分析した関西学院大の李政元准教授は「調査結果を基に、効果的な予防策を練ってほしい」としている。
鉄道各社は、ダイヤの乱れの原因となる自殺への対応に頭を悩ませているが、抜本的な対策はないのが現状という。
自殺防止に取り組む同協会の依頼を受け、JR西日本、京阪電鉄、近畿日本鉄道、阪急電鉄、阪神電鉄、南海電鉄の計6社が、各社が把握する自殺(未遂を含む)523件のデータを提供した。
自殺者の内訳は、男性が約6割、女性が約4割。平均年齢は男性49・2歳、女性49・6歳で性別による差はなかった。年代別では、21%の60代が最多。50代(17%)と続き、50代以上が過半数を占めた。
約4分の3のケースで特急や急行、準急などの高速列車が関係。方法別では、踏み切りや線路への侵入295件(56・4%)▽ホームからの飛び込み223件(42・6%)▽不明5件(1%)-だった。
時間帯別では、侵入は午後6時~午前0時に発生することが多く、飛び込みは正午~午後6時に多発。暗く人目につきにくい夜間は、線路に侵入しても気付かれにくいためとみられる。
天気との関連も浮かび上がった。李准教授によると、過去の観測データを基に府内の天候の確率をまとめた「天気出現率」は、晴れ54・8%▽曇り14・8%▽雨・雪30・4%で、年間を通じてほぼ半分が晴れの日となる計算。
ところが当時の天気が判明した298件の自殺について調べると、71・1%にあたる212件が晴れの日に発生していた。
逆に雨・雪の日の発生は7・7%にあたる23件にとどまり、外出しやすいかどうかが影響していることが裏付けられた。
確認できた発生場所は計353カ所。約7割では1件しか発生していないが、4件(15カ所)▽5件(3カ所)▽8件(1カ所)-と複数回発生した場所もあった。李准教授は「多発箇所に共通点がないか調査する必要がある」と訴える。
府人権協会では、相談窓口の連絡先などを明記し、自殺を思いとどまるよう呼びかけるポスターを作製。6月をめどに鉄道各社の駅などに掲示する予定。

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